二○三○年には、六十五歳以上の独り暮らしが〇五年の一・八倍、七十五歳以上だと二・一倍にもなる――厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所がまとめた「日本の世帯数の将来推計」で分かった。誰にもみとられずに亡くなる孤独死が増えるなど、概して見えにくいのが独居老人の実情であるだけに、その対策が急がれる。


各世代で単身世帯が増加

 日本は世界で最も速く高齢化が進んでいる。〇二年に高齢者世帯が初めて七百万世帯を突破して以後、急増している。高齢者のうち、現在三百九十八万人が一人暮らしで、三〇年には七百十七万人になる見込みだ。

 また各世代とも総体的に単身世帯が増加し、人口減と相まって、一世帯当たりの平均人数は、二・五六人から二・二七人に減ると推計される。同研究所は「独り暮らし増加の背景に少子高齢化や未婚化の進行がある」としている。

 内閣府の〇四年の調査では、独居老人のうち、12・4%が「近所づきあい」をほとんどしていないと答えており、日常生活の中で孤立している姿が浮き彫りになっている。

 老人の孤独と死の関係について詳細な調査はないが、例えば阪神大震災で自宅を失った被災者らのうち、復興公営住宅で一人暮らしの入居者が死亡する「独居死」が二〇〇〇年以降の四年間で二百五十一人という異常に高い数だった。厚労省によると、孤独死は平成十六年度、東京二十三区内で二千七百十八人に上っているし、孤独にさいなまれてついに自殺に至るケースもある。

 にもかかわらず、独居老人=年金暮らし=悠々自適というイメージがあるのか、細々と暮らすお年寄りを狙った犯罪は増えている。また、いかに体が丈夫で、生活の不便さを感じていなくても、その先に孤独死という現実も待ち構えているとしたら悲惨だ。

 基本的には、三世代が同居し、それぞれの役割分担を決めて協力し合う生活が望ましい。少子高齢化や未婚化問題の克服とともに、最終的には、三世代が安心して暮らせる社会の仕組みをつくり上げることにより、独居老人の諸問題を解決することができよう。

 ただし、最近では一人暮らしの半数以上の老人が家族らとの同居を希望していないという調査結果もある。これには幾つかの理由があるようだ。高齢者世帯の貯蓄額が今のところ全世帯平均以上あり、相対的に経済的な暮らし向きが悪くないこと。また長寿、健康志向のため普段から努力し、比較的体力に自信があること、年を取っても息子や嫁に頼らずに生きていこうという心構えができていることなどが挙げられる。もちろんこうした“独立心”は今日、必要な生活条件ではある。

 しかし、その一方で、彼らの高学歴の子女たちが若い時から都会に出て、所帯を持ち、交流はあっても同居を望んでいないことや、実家に帰っても職がないといったことなどから、親の方も不本意ながら同居をあきらめざるを得ないといった背景もある。


三世代同居への仕組みを

 老人の孤独は先進国病の一つとされ、精神衛生上からも独居の弊が言われている。欧米では社会復帰に向けた訓練機関、施設の充実、老人だけが暮らす“老人村”の形成など、それなりの対策が取られてきている。

 わが国には、三世代同居の伝統的な家族構成がある。老人の生きがいを見据え、家庭の価値を中心に置いた社会の仕組みや政策を考えるべきである。

出典:世界日報